ワーク(被供給部品。被整列部品)

 部品供給システムのメーカー(以下メーカーという)は部品供給については、永年にわたって蓄積された膨大なノウハウを持っていますが、全てのワークについて知ることは不可能です。これから自動供給をしようとするユーザー(以下ユーザーという)の初めて手にするワークについての特性・取扱方法などの知識は、過去に取り扱ってきたワークの経験が殆ど役に立ちません。

 ユーザーでは常識とされていることでも、メーカーにとっては殆どが新しい経験になりますので、意外なミスを起こすこともあります。この様な不必要なミスを起こさない為にも、ワークについては詳細にその特性をお聞かせ戴かないと、メーカーはユーザーの意向とかけ離れた供給装置を造ってしまったりすることがあります。
逆にメーカーはワークについてその特性を熟知すればするほど、供給効率をさらに向上させたり、供給装置をさらに廉価にする方策−例えばワークを自動供給し易くするにはどのように設計変更したら良いか−をお客様に提示することが出来るようになります。

したがって、メーカーに対し次の諸点(A〜D)について詳細に伝えることが、より良い部品供給システムの構築につながることになります。



A)ワークの名称
ユーザーとメーカーが共通のワーク名称で会話をするのは当然のことですが、このことが全ての始まりになるといっても過言ではありません。名称のはっきりしないものは正式に名前を付けてメーカーに連絡してください。特に多品種のワークを1台の供給装置で供給しようとする場合は、ユーザーとメーカーとが1つ1つ明確に区別できるように、全てのワークに名称を付けて下さい。
 
B)ワークの提供
a)メーカーへ提供するワークの量
ねじやボルト等の機械部品で常識的と思われるワークでも、必ず実際に供給しようとするワークで、テスト用として1分間に供給される供給量に相当する数量を、メーカーに提供して下さい。
なお、完成した供給装置の検収・確認のためには、最低限振動ボウルフィーダへの一回の投入量の数倍に相当するワークを提供してください。

b)提供するワークは図面だけでなくラインに流れる実物
ワークの重心の位置による選別がよく用いられますので、図面と数字だけの記述では微妙な重心の位置が判断できません。必ず実際にラインに流れるワークを提供して下さい。
これを怠るとメーカーの見積が出来なくなるか、整列できる可能性を持つ各種の整列機構を全て装備した見積となり、実際の供給システムより高価な見積になることがあります。

c)ワークの損傷
損傷し易いワークで傷を問題にされる場合は、メーカーは最初に損傷テストを行います。テストが終わった後ワークをお返しいたしますので、ユーザーは損傷状態を検査し可否の判断をしてください。メーカーはその結果に基づき、対策を立て見積をすることになります。

d)ワークの表面状態
ワークと送路の摩擦が整列に大きな影響を与えますので、ワークの表面状態につきましては細心の注意を払ってください。提供されたワークと実際にラインに流れるワークは表面状態、特に油脂分・水分・粉・ごみなどの付着状態が、同一のものでなければなりません。
また、付着物などは取り扱いによって消滅してしまうこともあるので、ツーリング設計・製作用のワークとは別に、検査用のワークも準備して下さい。

e)ワークの寸法・形状誤差
1台の供給機で多品種のワークや、柔軟なワークなどを供給しようとするときは、最大と最小のワークを正規のワークに添付して、メーカーの意見を聞いて戴きたいと思います。
供給機は一定形状のしかも一定精度のワークを整列するものなので、精度不良のワークや異なった形状のワークが混入する可能性がある場合には、精度不良のワークや異なった形状のワークを検出し排除しなければならず、一定のワークを整列することとは、全く異なった技術の問題になります。

C)供給量の決め方
次工程が必要とするワークの量に見合った数字を、次工程の現状タクトタイムと将来予想されるタクトタイムとともにご提示下さい。
供給装置の供給量は後の4項で述べられているように、様々な要因が絡み合って一律には決められません。当然のことながら次工程の能力を上回っていれば良いわけですが、適当な掛け率を用いて供給量を指定すると、いたずらに供給装置の価格が上がるだけでなく、ワークがオーバーフローしトラブルの原因にもなります。
供給量は1分間に供給される量の平均値ですから、次工程との整合のための手段を考えておかねばなりません。特に必要なときには最低供給量をご提示下さい。
    
D)ワークの変更
ユーザーではほんの一部の変更と思われる場合でも、メーカーにとっては全く別のワークとして対応しなければならないことがあります。
提供されたワークと実際にラインに流れるワークが異なっている場合は、
@ ツーリング製作前であれば再見積から始まる「新規取引」になることがあります。
A 製作後であれば既に製作されたシステムを買い取って戴いた後、新規の改造依頼を承ることもあります。