雑学のススメ No.3(02・11/12)

「計画より1m長くなった明石海峡大橋」
〜阪神淡路大震災最大のモニュメント〜
 1998年4月5日、世界最大の吊橋(塔の間に張り渡したケーブルで桁を吊る形式の橋)「明石海峡大橋」が完成しました。1988年5月1日本格工事(起工式は1986年)が始まってから、10年に亘る大事業でした。

 神戸市垂水区と淡路島の間にある「明石海峡」は、
  ・ 幅 4 km
  ・ ルート上の最大水深 110 m
  ・ 潮流の速さ 4 m(最大秒速)
  ・ 軟らかい地盤
  ・ 海峡を通過する船舶 1,400 隻/日

その大きさを理解するために、「明石海峡大橋」を東京に移動させたとすると、

  ・2本の主塔の位置1991m :東京駅と秋葉原駅
  ・主塔の高さ297m:100階建てのペンシルビルが40m離れて2棟
  ・ケーブルを固定するアンカレイジ :床面積5000uの13階建てビル
  ・アンカレイジの位置3911m :有楽町駅と御徒町駅
  ・アンカレイジのコンクリート量 :東京ドーム1杯

 本州と四国を結ぶ「本四連絡橋」は先端技術を結集した長大橋梁群であり、橋の形式は支間長や地形に応じて、吊橋・斜張橋・トラス橋・高架橋と使い分けられます。

本四連絡橋の吊橋

順位 橋名 ルート 中央支間長(m) 橋長(m)
明石海峡大橋 神戸・鳴門 1,991 3,911
南備讃瀬戸大橋 児島・坂出 1,100 1,648
来島第三大橋 尾道・今治 1,030 1,570
来島第二大橋 尾道・今治 1,020 1,515
北備讃瀬戸大橋 児島・坂出 990 1,538
下津井瀬戸大橋 児島・坂出 940 1,400
大鳴門橋 神戸・鳴門 876 1,629
因島大橋 尾道・今治 770 1,270
来島第一大橋 尾道・今治 600 960
10 伯方・大島大橋 尾道・今治 560 840

 「本四連絡橋」にある10橋の吊橋の一覧表から、「明石海峡大橋」の「中央支間長」が1991m、橋長が3911mであることに着目してみました。
 「明石海峡大橋」の「計画図」(図1)を御覧下さい。「中央支間長」は1990m、橋長も3910mとなっており、完成した「明石海峡大橋」はそれぞれ1m長くなっています。

図1
何があったのでしょう。

 7年前の1995年1月17日午前5時46分、「明石海峡」付近を震源として発生した、M(マグニチュード)7.2の「阪神淡路大地震」を思い起されると思います。
 「明石海峡大橋」の主塔が立ち、吊橋の建設が佳境に入った時、予想もしなかった「大地震」が発生、淡路島と本州(神戸市)の間が1m拡がったのです。

 
「阪神淡路大地震」という未曾有のアクシデントを乗り越えて完成された「明石海峡大橋」は、「阪神淡路大地震」から復興した被害者のご家族と重なります。
 多くの新技術を生み出し「阪神淡路大地震」にも耐えたことは、人々に力強い希望と活力を与えてくれました。
 予定より長くなった「明石海峡大橋」の1m(中央支間長1991m・橋長3911m)は、「阪神淡路大地震」のどんな「記念碑」よりも、「阪神淡路大地震」の規模を示す確かな「記録」としていつまでも残ることでしょう。
以  上