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部品供給装置とは

「部品供給装置」の概要

製品の用途

部品供給装置は一連の製造自動化ラインにおいて、ランダムに大量に置かれた小部品を、次工程が必要とする一定の姿勢(一定の時間・一定の位置)に整列させ、次工程(または直接組立工程)に自動的に供給することができます。

近年、産業界の自動化・省力化の要請を受けて急速に需要は広がり、あらゆる業界で利用されています。
● 利用例
  • 自動車製造ライン
  • 自動車部品製造ライン
  • 電子部品製造ライン
  • 家庭用電化製品組立ライン
  • 遊戯機器組立ライン
  • 化粧品や薬品の包装ライン
  • 食品の加工や包装ライン
  • 遊技機 など

製品の特徴

一連の部品供給システムの中核を担っているパーツフィーダは、電磁石と板ばねを用い、商用電源(50Hz・60Hz)によって各種形状をもつボウル(ボウル状の容器)に微小な振動を与え、各種細工を施したガイドに添い、ボウル内にランダムに蓄えられたワーク(機械部品・電子部品・樹脂部品など)を、整列・移動させる装置です。
● 主要構成部品
本体
電磁石・板ばねを主体とする駆動部分
コントローラー
輸送速度や振動数などを制御・調整する
直進フィーダ
一定方向に整列されたワークを次工程に送る
ホッパ
あらかじめワークを貯蔵しておく
エレベータ
低位置から高位置へワークを移動させる
コンベア
水平にワークを移動させる
ユーザーの要求によって、選別・計数・計量、さらに包装までを整えた一連の工程を、一つの装置に仕上げることもあります。

生産形態

大半は個別受注生産方式を採っています。
特にボウルフィーダに整列機能を与えるためには、ワーク毎に異なった細工(ツーリング)を施す必要があります。そのため営業の初期段階から、供給されるワーク特有の要求内容を正確に理解し、受注後は供給装置製作に必要な最小限の事項を仕様書にまとめることになります。

ツーリング部分に関しては製作のための図面化は非常に難しく、殆どが永年の経験と熟練によるものであり、大部分が手作業による加工が多くなります。

さらに供給装置がラインで稼動し始めた後のアフターケアは欠かせないため、受注活動から納入後のアフターサービスまでの一貫した市場対応力が必要になります。このため供給装置メーカーの周辺には、少人数の技能集団が集まっています。

関西では東大阪地区、東京では大田区、ほかには名古屋周辺・浜松周辺・長野諏訪地区・北陸地区・中国地区・山形地区などが挙げられます。

部品供給方式の分類

整列供給方式

振動式
電磁式
半波駆動式
ボウルフィーダ(多重式、多段式)
直進フィーダ(循環式直進フィーダ)
全波駆動式
ボウルフィーダ(多重式、多段式)
直進フィーダ(循環式直進フィーダ)
インバーター駆動式
ボウルフィーダ(多重式、多段式)
直進フィーダ(循環式直進フィーダ)
高周波振動式
ボウルフィーダ(多重式、多段式)
直進フィーダ(循環式直進フィーダ)
自励振動式
ボウルフィーダ(多重式、多段式)
直進フィーダ(循環式直進フィーダ)
楕円振動式
ボウルフィーダ
圧電式
ボウルフィーダ
直進フィーダ
機械式
ボウルフィーダ
直進フィーダ
空気圧式
ボウルフィーダ
直進フィーダ
非振動式
回転式
ディスク(外周ゲート)式
ドラム(回転円筒)式
回転円板式
斜傾円板式・ホップマン式(入れ子式)
複合回転円板式(デクスター)
ベルト式
斜傾式
水平式
複合式(ノンマーホッパ)
寄せ波式
揺動式
中板式
振り込み式

「部品供給装置製造業」の概要

部品供給装置製造業とは

加工・組立等へのワークと呼ばれる小部品を供給する作業を、比較的安価に自動化する省力化装置を製造・販売する業界です。

部品供給装置業界(通称パーツフィーダ業界)は戦後まもなく誕生し、半世紀を越えてわが国産業界の自動化・省力化に貢献しています。

業界の構成

部品供給装置メーカーは多数の中・小規模の専業メーカーと少数の兼業大手メーカーがあります。夫々のメーカーと密接な関係にある数名規模のメーカーを含めると、日本全国では200社~250社程度あるものと推定されます。

技術の伝承

ツーリングを中心にした技能・技術の習得、さらには後継者の育成を継続的に行う必要があり、工業会の「技術委員会」が中心となって、ツーリング設計・製作に関するマニュアルやトラブル事例集を編纂しています。
● 資格認定制度について
永年の懸案であった「資格認定制度」が2000年からスタートいたしました。
難易度は「エンジニア」「上級エンジニア」「特級エンジニア」の3段階に分かれています。

部品供給装置の導入史

1940年
米国シントロン社のウイリアム・ヴァーニス・スパーリン
(William V.Spurlin)氏によって発明。
1952年
シンフォニアテクノロジー株式会社が米国シントロン社と技術提携。(半波駆動式)
1954年
特許公告。シンフォニアテクノロジー株式会社によるわが国第一号機完成。
1972年
NTN株式会社が独国INA社と技術提携。(全波駆動式)
1973年
株式会社産機が米国スワンソン・エリー社と技術提携。(全波駆動式)
1975年
NTN株式会社が独国RNA社と広範囲な技術協定締結。
1980年
シンフォニアテクノロジー株式会社は供給部品の小型化に伴い、高周波ミニパーツフィーダを開発。(高周波駆動式)
1985年
株式会社東芝がピエゾ(圧電)駆動式を開発。株式会社産機が株式会社東芝と技術援助契約締結。
1969年(昭和44年)、15年の基本特許の期限が切れたことから、部品供給装置メーカー各社独自の優れた商品が開発されました。
例えば分離底などボウルに相当する部分の形状や電磁力または圧電方式等駆動方法の相違、高周波・空気式・自励振動方式、多段、多重平衡型など、原理的にも全く別のように思われていますが、基本的には同一の発明がベースになっています。

配列供給方式

  • パーツトレイ式
  • マガジン式
  • テープ式
  • フープ式

製造供給方式

  • 塑性加工方式
  • 切削加工方式